[商品について]――楠木正成も伝授された希代の兵書を読む―『闘戦経』は、平安時代後期に大江匡房によって著されたといわれる日本最古の兵書です。「孫子」や「呉子」などの兵法書が詭道を旨とするのに対して、匡房は日本の風土の中で積み上げてきた和と武の精神を昇華させ、日本人の国民性に合ったものにして後世に伝えました。本書は、利益追求を至上の価値とする欧米流の企業経営論が行き詰まりを見せる中で、900年の時を経て輝きを失わない『闘戦経』の思想を改めて見つめ直し、日本人らしい経営の礎として活用していただくことを目的として書かれた作品です。原文と書き下し文の後に、多くの企業経営に関わってきたコンサルタントの視点からの解説を加え、『闘戦経』の思想を理解するとともに、企業経営の参考にしていただける内容となっています。[目次]改訂版の出版によせてまえがき第一章 闘戦経は生きぬく不変の道理を説いたもの第二章 社会価値を提供し経済的に調和させることが経営第三章 経営は「セカンドネイチャー」になるまで学び識る第四章 何者かを知り、為すべき道を知れ第五章 剛毅をもって貫け第六章 骨となる創業の志・精神を充実させよ第七章 自ら変化を働きかけ 自ら断じよ第八章 結果善し プロセスも善し第九章 能力をフルに発揮して戦え第十章 行いて足らざるを知る 現場・現物にあたれ第十一章 個々の機能を有機的に連動させよ第十二章 形に囚われず本質を見よ第十三章 先ずは自らの考え・意見を持て第十四章 先ずは気(力)から第十五章 二元論で見るな 特性で見よ第十六章 判断・決定のための五つの視点第十七章 大局観をもら大筋を示せ第十八章 稜を使え(メリハリを効かせよ)第十九章 「情」のもつエネルギーを引き出せ第二十章 将は胆力をもて第二十一章 価値を生み出す源泉をもて 磨け第二十二章 「生きるか・死ぬか」という視点で大切なものが見えてくる第二十三章 基本・原理・原則に従い一貫性をもて第二十四章 ライン部門が俊敏に動けるようスタッフ部門は支えよ第二十五章 ルールや規則では動かない 「威」で動く第二十六章 組織の最大の力を引き出す運用の妙 「一心」と「一気」第二十七章 本気の判断第二十八章 仕組みの運用は「気」をいれて第二十九章 勝てる秩序をつくって守れ第三十章 小虫ならではの毒を使え第三十一章 不断の研究・努力で鬼智に近づけ第三十二章 自分・組織を信じきること第三十三章 心の緩み隙を作らず言動・行動を慎め第三十四章 変化の背景や構造を知り自分のものにせよ第三十五章 自然の理に従えば護られる第三十六章 小さいなかにある偉大な可能性を信じよ第三十七章 「難易度・重要性は低くとも緊急性の高いもの」を優先に第三十八章 輝く源である「影」を充実させよ第三十九章 最後まで気を緩めず徹底的に実行し臨機応変に対応せよ第四十章 「活用する前に土台を」「知識・技術の前に精神・心を」つくれ第四十一章 個性を見極め 個性を伸ばせ第四十二章 閾値まで努力せよ第四十三章 急所を見極め 急所を狙え第四十四章 「準備」ですべてが決まる第四十五章 結果・行動に結びつく論議を第四十六章 腕章を巻け 役割に徹せよ第四十七章 「人」の組織と「鬼」の組織第四十八章 攻守を明確にせよ第四十九章 戦闘力よりも戦術 術の選択幅は兵のレベルによる第五十章 知・勇・威の三位一体第五十一章 不動の指針をもち常に指し示せ第五十二章 経営の本質は環境変化の禍患を防ぐにあり第五十三章 リーダーは虚無に堕ちるなあとがき参考図書[出版社からのコメント]「孫子」や「戦争論」、「君主論」などと比べて、『闘戦経』の名前はあまり知られていません。孫子の兵法と位置づけの異なるものとして書かれ、行き過ぎた合理主義や唯物思想へのアンチテーゼともなっているその内容は、経営だけではなく生き方の指針としても学ぶべき点の多い書物だと思います。本書を通じて、多くの方に「我武」のこころを知っていただければ嬉しく思います。【著者プロフィール】臼杵 昌美(うすき まさみ)1959年、島根県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。東洋工業株式会社(現マツダ株式会社)入社、海外営業本部勤務。研修期間中に全国優秀新人セールス賞受賞。その後、経営コンサルティング会社に入社、同社代表取締役に就任。その間、全国300余社のコンサルティンググループの最優秀コンサルタント個人賞受賞。現在、P7 Management Consultingとして「哲学・理念」と「ソロバン」が調和する企業つくりをコンセプトにコンサルティング、講演、研修を行う。中小企業の経営戦略、マーケティング戦略、組織活性化の仕組みつくりなど経営者の参謀役として活動するなか、リーダー育成のための「開陽塾」を開催している。中小企業庁中小企業小規模事業者ワンストップ総合支援事業派遣専門家。広島県小規模事業者等支援委託事業指導専門家。著書に「『坂の上の雲』に学ぶ中小企業経営力」、「R指定〝商品は売るな〟営業変革に取り組んだリーダーたちの物語」がある。